映画館の会員情報を広告に活用する(東京・銀在の丸の内TOEI)

東映と松竹は31日、映画のデジタル広告で連携すると発表した。両社の映画館の会員のデータを活用して、消費者の関心や属性に合わせた「ターゲティング広告」の精度を高める。有料の動画配信が普及するなか、映画館への来場者増加につなげる。

デジタル広告の運用を手掛けるフラッグ(東京・渋谷)の第三者割当増資を東映と松竹が引き受け、7%ずつ出資する。出資額は明らかにしていない。

フラッグは性別や年齢層など会員の属性、どこで何をみたかといった情報を暗号化して管理する。過去に見た作品の続編など関心の高そうな広告の出稿につなげる。蓄積したデータは他の映画配給会社にも販売し、27年までに年間3億円程度の売り上げを目指す。

松竹と東映はイオンや東宝などに次ぐシネマコンプレックス大手7社の一角だ。会員数は非公表だが、他社との共同運営など一部を除き、松竹と東映のグループ合計で全国43劇場396スクリーンの利用履歴を活用できるようになる。

これまでは映画の製作・配給部門と映画館を運営する興行部門は同じ系列でも別会社との意識が強く、会員のデータを広告に有効活用できていなかった。

日本映画製作者連盟によると、2023年の国内の映画興行収入は前年比4%増の2214億円だった。新型コロナウイルス禍での落ち込みから回復したものの、過去最高だった19年(2611億円)には届いていない。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。