米モデルナは新型コロナワクチンの需要減に直面している=ロイター

【ニューヨーク=西邨紘子】米製薬モデルナが1日発表した2024年4〜6月期の決算は、最終損益が12億7900万ドル(約1900億円)の赤字となった。前年同期は13億8000万ドルの赤字だった。引き続き新型コロナウイルスのワクチン販売が不調だった。欧州での需要見通しが振るわないとして、24年12月期通期の売上高見通しを下方修正した。

4〜6月期の売上高は前年同期と比べ30%減の2億4100万ドルにとどまった。1株当たりの損益(EPS)は3.33ドルの赤字だった。前年同期(3.62ドルの赤字)と市場予想(1株あたり3.39ドル)よりも赤字額は小さくなった。

世界での需要縮小で新型コロナワクチンの売上げは1億8400万ドルと前年同期と比べ37%減った。在庫の評価減や生産能力余剰などのコストが重く、研究開発費とあわせて赤字計上の要因となっている。

モデルナは24年12月通期の売上高見通しを30億〜35億ドルとし、従来予想の40億ドルから引き下げた。24〜25年の流行期での欧州の新型コロナワクチン需要が「非常に低水準」(同社)にとどまる見通しが強まったと説明した。

売上高見通しの下方修正を受けて、1日の米株式市場でモデルナの株価は急落。前日終値比で下げ幅が一時20%を超えた。

新型コロナワクチンの需要縮小が続くなか、モデルナは収益の多角化に向けた新薬の実用化を急いでいる。5月には米国で呼吸器合胞体(RSV)ワクチンが承認を受けた。近く提供を開始する。24年通期の研究開発費は最大で45億ドルとし、23年通期(48億ドル)に続き40億ドルを上回る規模を維持する。

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