900万円超は8社、800万円超は13社
2023年度の平均年間給与ランキングの1位は、ソフトバンクグループの1360.1万円だ。以下、2位は野村総合研究所の1271.6万円、3位はNTTの1023.8万円、4位はKDDIの986.9万円、5位は富士通の965.4万円と続く。
全体を見渡すと、1000万円の大台を超えたのは3社。900万円超は8社、800万円超は13社といった分布になっている。15社の平均は940.6万円である。国税庁の民間給与実態統計調査によると、5078万人の給与所得者の平均給与は458万円(22年分)となっており、高い水準といえる。
15社の平均年齢は総じて40歳超となっている。最近では年功序列型の給与体系を見直す動きが進んでいるが、平均年齢が低い楽天グループ(34.4歳)やLINEヤフー(37.3歳)を他社と同等の40歳程度の基準で比べると、実際にはもっと上位に入る可能性がある。
楽天グループとLINEヤフーを除く13社が増加
22年度からの増減率に注目すると、増加率1位は富士通の9.8%増だった。以下、2位は大塚商会の9.3%増、3位はTISの6.8%増、4位はNTTの5.3%増、5位はKDDIの4.6%増と続く。
富士通は金額で86.5万円の増加だった。同社は23年4月に報酬制度の見直しを発表。国内社員の月額賃金を平均10%、事業部長クラスの人材では最大29%引き上げた。「既に導入済みのジョブ型人材マネジメントにより、職務内容と職責の高さに応じて入社後数年で年収1000万円以上になることも可能」としている。
大塚商会は金額で80.5万円の増加である。前述した平均年間給与ランキングでも日立製作所やNTTデータグループを逆転し、6位に浮上した。
同社は人的資本の強化と働きがいのさらなる向上を狙い、22年から給与体系の見直しを進めている。22年7月には初の大幅ベースアップ(全社員一律1万円)を実施した。同社有価証券報告書では「自己実現の支援や成長機会の提供など非金銭的報酬に加え、金銭的報酬の充実でエンゲージメントを向上させ、労働力の確保・定着につなげていく」としている。
全体では15社のうち、13社が22年度から増加となった。IT(情報技術)系はデジタルトランスフォーメーション(DX)需要の拡大を受けて好調な業績が続くが、その一方で人材不足に悩まされている。賃上げの流れは強く、来年の動向が注目となる。
平均年間給与が減ったのは楽天グループとLINEヤフーの2社。楽天グループは0.3%減、LINEヤフーは10.2%減だった。
=つづく
(日経クロステック/日経コンピュータ 杉山千織)
[日経クロステック 2024年7月10日付の記事を再構成]
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