日産は組み立て工程における椅子の導入などを進める(同社提供)

日産自動車は23日、従業員の希望に応じて柔軟に働ける新たな勤務体系を2030年までに全工場で導入すると発表した。育児などによる時短勤務や高齢者によるフルタイム勤務がしやすくなる。少子高齢化で人口減少が見込まれる中、働きやすい職場を整え、中長期的な労働力不足に対応する。

自動車の生産工程は時間や人員が細かく定められており、稼働時間の途中から生産に加わったり抜けたりする時短勤務が難しかった。日産は働きやすい職場環境を「スマート工程」と名付け、2021年度に福岡県の工場で導入した。

具体的には遅く出勤した従業員に対し、主要な生産工程以外で作業をしてもらい、工場全体の休憩後は主要な生産工程で働いてもらう。早朝や夕方に子供を保育園に送迎する若い従業員らが時短勤務を利用しやすくなる。

長時間の労働が難しい高齢者の場合、朝や夕方は主要な生産ラインで勤務し、昼間の時間帯は負担が軽い作業をしてもらう。このほか、かがみ込む必要がある車両の組み立て工程における椅子の設置などを進めている。

福岡県の工場では全体の1%ほどの従業員がスマート工程の勤務体系で働いている。日産は今後、スマート工程を各工場に段階的に導入していく。2030年までに国内外の工場に同様の勤務体系を広げる。将来的には主要な生産ラインから負担が軽い作業を省き、生産ラインを短縮する設備投資もおこなう。

日本は少子高齢化を背景に人口減少が見込まれ、現場の労働力不足が懸念されている。育児や年齢を理由にフルタイム勤務が難しい人材に対して、働きやすい職場を提供することで、中長期的な工場従業員の維持につなげる。

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