ステランティスジャパン(東京・港)は傘下のブランド「アルファロメオ」の3日間の試乗キャンペーンを無料で実施する。9月末まで全国のディーラーで試乗できる。国産車を含めても高級車で3日間も試乗できるキャンペーンは珍しい。長時間の体験で電動車でも変わらぬアルファロメオらしさを伝え、販売をテコ入れする。
試乗キャンペーン対象の「トナーレ」のPHVモデル(2日、東京都町田市)

対象となるのは多目的スポーツ車(SUV)の「トナーレ」。アルファロメオとして初めてのプラグインハイブリッド車(PHV)とマイルドハイブリッド車(MHV)で、2023年に日本で発売した。価格はPHVが762万円から、MHVが620万円から。6月時点で24年の日本で販売されているアルファロメオの約半分を占める。

「電動車は短時間の試乗では良さがわかりにくい」と鈴木美生子ブランドディレクターは話す。充電に対する消費者の不安は大きい。3日間で充電や高速道路での体験を顧客にしてもらい充電インフラや航続距離の懸念を解消したい考え。

試乗中の事故の責任は試乗者が負う。一般的な自動車保険に付帯する他車運転特約などで補償できる。試乗の申込件数は19日時点で551件。

試乗期間中は充電も体験してもらう

アルファロメオは現行のPHVやMHVに加えて、25年夏ごろに初の電気自動車(EV)を日本で発売する。ただ、日本ではEVなど新エネルギー車の販売が停滞しており、24年6月の新車販売(軽自動車を除く)に占めるEVとPHVの割合は約3%にとどまる。「長時間の試乗で電動車でもハンドリングなどのアルファロメオの良さが変わらないことを伝えたい」と鈴木氏は話す。

一般的な試乗は決められたコースを15分ほど周回するだけだが、今回のキャンペーンでは行き先は自由だ。街中や高速道路、駐車場など様々な場所で見てもらうことでブランド認知を高める狙いもある。

同ブランドの日本での販売は厳しい状況にある。2021年に主力の「ジュリエッタ」が販売終了となってからは約1600台で推移する。24年1〜6月も前年同期比41%減の565台と苦戦する。「試乗キャンペーンで顧客と接点を増やしブランドを認知してもらいたい」(鈴木ブランドディレクター)と話す。

試乗後には「#情熱のアルファロメオ」をつけてSNSに投稿してもらい若者とのコミュニケーションの機会も増やす。アルファロメオ横浜町田店の平村宗久マネージャーは「いつかはアルファロメオをという人が多いが、それを今にしたい。キャンペーンをきっかけにディーラーに入りやすくなれば」と意気込んだ。(田中颯太)

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