運転手不足への懸念から運賃は上昇基調に

NX総合研究所(東京・千代田)が6月に実施した企業物流短期動向調査によると、4〜6月にトラック運賃が上昇したとの回答は全体の63%にのぼった。荷動きが低調ななかでも運賃契約の改定が進んだ。

企業間物流に使う貸し切りトラックにあたる「一般トラック」について、4〜6月の運賃が前年同期と比べどうだったかを聞いた。不変との回答は33%、下がったとの回答は4%あった。

調査は製造業と卸売業の主要2500事業所を対象に行い、680事業所から回答を得た。

7〜9月の運賃の見通しについて、前年同期に比べて上昇するとの回答も63%だった。不変は34%、下落は3%だった。

トラック運転手の残業時間の上限規制適用に伴い、輸送能力の不足が懸念される「2024年問題」が背景にある。安定的な物流網を維持するために、荷主企業が運送会社からの値上げ交渉を容認するようになってきた。

同研究所の佐藤信洋主任研究員は「運送会社は値上げしやすい環境になっており、輸送の効率化に向けた投資や賃上げを図る好機と捉えるべきだ」と話す。

運賃が上昇基調の一方で荷動きは鈍い。同調査によると4〜6月の荷動き指数はマイナス12だった。1〜3月のマイナス17と比べ5ポイント改善したが、23年1〜3月以降、6四半期連続で2桁台のマイナスをつけている。

同指数は製造業や卸売業から国内向けの出荷状況を四半期ごとに聞き取り、荷動きが前年同期に比べ「増える」と答えた事業所の割合から「減る」と答えた割合を引いて算出する。値が大きいほど荷動きが活発なことを示す。

荷動き指数は新型コロナウイルスの感染拡大で、2020年4~6月にマイナス65まで悪化していた。その後は巣ごもり消費などで一時プラス圏に回復したが、物価高による消費の落ち込みで荷動きは再び低迷した。

NX総研の佐藤氏は「内需不振が長引いており、生産活動はコロナ禍による落ち込みから回復しきれていない」と指摘する。

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