大阪府は24日、府などが出資する第三セクターが運行する大阪モノレールの延伸計画が大幅に遅れ、開業目標が従来の2029年から33年ごろにずれ込むと発表した。新設駅の一部で地盤が想定より軟弱なことが判明し、駅舎の工法の見直しが必要となった。物価・資材高などの影響で建設にかかる事業費も従前から約650億円増額する。

吉村洋文知事は24日、記者団に対し「29年の完成に期待される方も多くいたと思うが、安全確保のためにご理解を賜れればと思う」と述べた。工事や事業の中止は否定した。

計画では門真市駅から南に約8.9キロ延伸し、新たに松生町▽門真南▽鴻池新田▽荒本▽瓜生堂――の5駅(いずれも仮称)をつくる。大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の長堀鶴見緑地線やJR片町線(学研都市線)などに乗り換えが可能となる。新設はもともと4駅の予定だったが、21年に松生町駅の設置に関係者で基本合意し、のちに計画に加えた。

府によると、新設駅のうち瓜生堂駅のボーリング調査を23年に実施したところ、想定より地盤が軟弱だったことが判明。駅舎の安全確保のため基礎工法の変更が必要となり、全体の開業が4年ほど遅れることとなったという。

東大阪市の野田義和市長は24日、「当初の完成予定であった29年を前提にまちづくりを進めてきており、計画の見直しも必要で非常に残念」とコメントを発表した。

地元でも落胆の声が広がる。荒本駅近くに本社を構える金属加工のミヤマエ(東大阪市)の宮前昭宏社長は「モノレールは他の複数の鉄道とつながり、交通の便がよくなると期待していた。東大阪の発展についても少しダメージを受けるのではないか」と懸念する。

吉村氏は増額分の8割は「昨今の物価高や資材価格の高騰、人件費の増加が理由だ」と説明した。

大阪モノレールの延伸計画の変更について話す吉村知事

従来の全体事業費、約1113億円のうち駅舎などの建設費は約786億円。松生町駅の整備費をのぞく約740億円を国と大阪府・市、東大阪市が、松生町駅の部分は国と門真市、守口市が負担する計画だった。今回の見直しで駅舎などの建設費は約650億円増え、8割増の約1430億円となる。府によると、増額分は国や府などで負担する。

府は外部の有識者でつくる審議会に事業を継続する妥当性を諮り、そのうえで府議会に関連費用を盛り込んだ補正予算案を提出する考えだ。

それとは別に、車両の費用など約327億円は大半の約310億円を三セクの大阪モノレールがまかなうとしていたが、同様に上振れする可能性がある。同社は今後、この部分の費用への影響について精査する方針だ。

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