味の素は10日、人体に影響のない微弱な電気刺激によって食べ物の塩味を持続的に増幅する装置を試作したと発表した。首の後ろと下顎に刺激を加えると、食べ物から感じる塩味などが強まる。今後、装置の改良を重ねて実用化し、日本人が取り過ぎている塩分量の削減を後押しする。
東京大、お茶の水女子大との共同研究によって実証し、技術を「電気調味料」と名づけた。液体や固体、和洋中など様々な形状や種類の食品で感じる塩味が増強されることを確認した。食品によってはうま味や酸味も強まり、風味に変化がみられた。
これまでも電気を流すことで塩味を増幅するスプーンなどの食器はあったが、口内に接触していることが条件だった。味の素が試作した装置は本体を首に掛けて電極を顎などにつけるもので、体の外側からの刺激によって効果が持続する。
減塩食はおいしくないといった不満を抱える消費者も多い。装置を食事中に装着すれば無理なく減塩できる。味の素は今後、耳に掛けるタイプなど複数の試作を重ねて早期の市販をめざす。
日本人の塩分摂取量は多い。厚生労働省の調査では20歳以上の平均で1日あたり10.1グラムと、世界保健機関(WHO)が掲げる推奨量(同5グラム未満)の2倍だ。塩分の取り過ぎは高血圧などを招きやすくなる。
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