走行実証に用いるEVバス。15人乗りで遠隔監視システムを搭載している(11日、香川県土庄町)

JTBや香川県土庄町などは、12日から小豆島で自動運転バスの走行実証を行う。島では観光客が増加する一方、バス・タクシー運転手の高齢化で公共交通の担い手が不足しており、課題解決につながるか検証する。

走行実証は15人乗りの電気自動車(EV)バスを使い、必要に応じて運転手がハンドルやブレーキを操作する自動運転「レベル2」で行う。小豆島の玄関口である土庄港と島内屈指の観光地である「エンジェルロード」付近の約3キロメートルを結び、午前10時〜午後5時台に7往復する。運賃はかからない。期間は17日まで。

11日に関係者やメディア向けの試乗会と出発式を実施した。土庄港を出発するとバスは加速。最速では時速35キロメートルで走行した。歩行者や対向車を検知するとバス内のディスプレーに表示された緑色のルートが赤くなり、必要に応じて停止する。約10分間、大きな問題はなくバスは到着した。その間、運転席にいるオペレーターはハンドルを触っていなかった。

バスにはソフトバンク子会社で自動運転を手がけるBOLDLY(ボードリー、東京・港)の遠隔監視システムを搭載しており、赤信号や停止線なども検知して停止するようになっている。

JTBは土庄町などと連携して小豆島のエリア開発事業「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」を進めており、自動運転の走行実証はその一環として実施する。走行状況や利用者へのアンケートを踏まえて課題を洗い出し、2027年に特定条件下での無人運転「レベル4」の実現を目指す。

自動運転中のバス、オペレーターはハンドルに触れていない(11日、香川県土庄町)

土庄町の岡野能之町長は走行実証について「小豆島の将来につながる。観光客だけでなく、地域の人にも乗ってほしい」と述べた。

ボードリーの他、東京大学発のIT(情報技術)スタートアップで、小豆島で自動運転車の公道走行の実施経験があるスキームヴァージ(東京・文京)や地元の小豆島交通(香川県土庄町)も実証に加わる。

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