工場のタンクに設置したセンサーから水のデータを取得する

水処理大手の栗田工業は12日、製紙工場の水質データから紙製品の品質低下などのトラブルを事前に予測するサービスを始めたと発表した。2023年から複数の工場でシステムを試験的に導入したところ、障害の発生を4割減らす効果が確認できたという。製造工程のリスクを可視化する技術を活用し、メンテナンスサービスを強化する。

工場のタンクに設置したセンサーから水のpH(ペーハー)や電気伝導率、濁度などのデータを取得して、製品の品質低下や操業の支障につながる異物付着などの将来的なリスクを可視化する。

リスクの高低をグラフで示す(イメージ)

製紙業界では再生紙の需要が高まっているが、原料となる古紙が不足している。低品質の古紙原料を使うことによる製品の品質トラブルが増加している。製品に穴や斑点が生じる障害が見つかってから発生要因を探すケースが多いが、栗田工業の予測システムを活用することで、事前に対策が講じられるようになるという。

栗田工業は品質リスクの予測システムを通して水処理薬品の提供などメンテナンスサービスを強化する。予測関連サービスの売上高を27年度までに数億円規模に伸ばす計画で、製紙以外の業界にも展開を目指す。

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