そごう・西武は12日、東京都内で西武池袋本店(東京・豊島)の2025年の改装開業を記念するパーティーを開いた。取引先や改装後にテナントとして出店予定のブランド関係者など約700人が出席した。
同社はセブン&アイ・ホールディングス(HD)から米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに親会社が変わり再建途上だ。取引先を招いた大規模パーティーを開くことで再出発を取引先や消費者に印象付ける狙いがある。
「今から1年前、様々な困難を乗り越えながら新しいそごう・西武が船出を切った」。フォートレスの山下明男・日本代表はパーティーの冒頭挨拶でこう切り出した。そごう・西武が改装に伴って数百人規模で関係者を集めてパーティーを開くのは異例のことだ。
フォートレスはそごう・西武について、高級ブランド、化粧品、デパ地下の食品の3分野に集中投資する方針を明らかにしている。山下氏は「西武池袋を日本一のラグジュアリー店舗にする。世界のトップブランド60社に(テナントとして)来てもらう」と強調した。
そごう・西武前身の西武百貨店などで構成するセゾングループ創始者の堤清二氏は、仏エルメスなどの高級ブランドを百貨店でいち早く展開したことで知られる。海外高級ブランドへの訴求力といった西武の強みは親会社が変わっても引き継いでいく意向だ。
ブランド側も新しいそごう・西武の姿勢に呼応する。改装前の西武池袋本店に「ルイ・ヴィトン」を出店しているLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパンのノルベール・ルレ社長は「かつて堤清二氏と食事したときに、池袋という街の文化の話を聞いていた。フォートレスから再出発の話を初めて聞いたとき『一緒にやりたい』とすぐに思った」と登壇して話した。
西武池袋が立地する地元自治体である東京都豊島区などのステークホルダー(利害関係者)もパーティーに参加した。西武鉄道を傘下に持つ西武HDの後藤高志会長や、高際みゆき豊島区長らだ。
高際氏は「(そごう・西武売却の)大いなる反対者としてメディアでは取り上げられた場面もあったが、西武池袋の魅力を盛り上げるために何をするのが一番いいかを考えることは関係者に共通していた」と振り返った。
前の親会社であるセブン&アイHDの幹部らの一部はパーティーに招かれたが、井阪隆一社長を中心に欠席した。フォートレスへの売却直前の23年8月31日、そごう・西武労働組合が百貨店従業員としての雇用の維持などを求めて西武池袋でストライキを決行した経緯がある。
(平岡大輝)
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