第一三共の25年3月期の連結純利益(国際会計基準)は税金費用増で前期比5%減の1900億円を見込む

第一三共は25日、最大で2000億円を上限とする自社株買いを発表した。2025年3月期の配当を60円と前期比10円増やす計画も公表しており、株主還元を拡大する。今期の連結純利益(国際会計基準)は5%減の1900億円となる見通し。主力の抗がん剤「エンハーツ」は伸びるが、前期に税金費用が減っていた反動が出る。

今期は60円配を実施し配当性向が61%(前期は48%)に上昇する。自社株買いについては、発行済み株式総数(自己株式を除く)の2.87%にあたる5500万株を上限に買い付ける。取得期間は25年1月15日までで、取得した全株式は消却する。

売上高にあたる売上収益は9%増の1兆7500億円、本業のもうけを示すコア営業利益は8%増の2100億円を見込む。コア営業利益は過去最高を更新する。エンハーツは、投与対象の広がりなどを背景に世界全体の売上収益が5854億円と3割増える。

奥沢宏幸社長は決算説明会で「エンハーツが期待を大きく上回る力強い成長を示している。バランスのとれた成長投資と株主還元を進めていく」と述べた。

15日発表した24年3月期連結決算は売上収益が前の期比25%増の1兆6016億円、純利益が84%増の2007億円だった。エンハーツの販売増に加え、スイス製薬大手ノバルティスを相手取った特許侵害訴訟で受け取った和解金も利益を押し上げた。

26年3月期を最終年度とする中期経営計画の数値目標も見直した。エンハーツを中心としたがん領域の好調を受け、26年3月期の売上収益を2兆1000億円(従来は2兆円)、がん領域の売上収益を1兆円以上(同9000億円以上)に引き上げた。

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