日立造船は17日、子会社2社で7月に発覚した船舶用エンジンの燃費データ改ざん問題を巡り、中間報告を国土交通省に提出した。1999年以降に出荷したエンジンのほぼ全てで燃料消費率や窒素酸化物(NOx)放出量が正確ではなかった。排ガス成分濃度のデータなどでも書き換えや誤入力があったことも明らかにした。

日立造船の社内調査では、子会社の日立造船マリンエンジン(熊本県長洲町)とアイメックス(広島県尾道市)が99年以降に出荷した舶用エンジン1375台のうち燃料消費量で1371台、排ガス成分濃度では400台で不適切な行為を確認した。国交省は不正の原因と再発防止策について、8月末をめどに報告するよう指示していた。

不正が起きた原因について「(設定された)保証値を満たす測定結果を安定的に得ることが難しかった」ため、「顧客への納期遅延を防ぐためデータの書き換えが行われた」と説明した。「過去に顧客へ提出した測定結果と整合性をとらなければクレームや受領拒否につながったり、かつての書き換えが発覚したりすると考えた」という。

再発防止策として「人が介在することによる不適切行為のリスクを取り除くため、計測及びデータの記録・保管について自動化システムの構築を検討する」などとした。今回の社内調査とは別に、弁護士など外部の有識者でつくる特別調査委員会が調査を実施している。特別調査委の調査結果を踏まえ、徹底した対策を講じるとしている。

日立造船は問題発覚後に記者会見を開くなどして説明する機会を設けていない。「調査が継続中で、現時点では関係者に正確な情報を提供するのが難しい」としている。

舶用エンジンを巡っては、IHIの子会社や川崎重工業でも同様に燃費データを改ざんする不正が相次いで発覚している。国交省は他の舶用エンジンメーカー18社にも不正がないかどうかを調べて9月末をめどに報告するよう求めている。

国交省は17日、現時点で国内向けに出荷したエンジンでNOx放出量規制に不適合となるものは確認されていないとし、今後は国が放出量試験に立ち合う条件で航行に必要なNOx規制に適合した製品であることを示す証書の交付を再開すると発表した。同省は7月の不正発覚後に日立造船への証書の交付を停止していた。

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