日本銀行は20日の金融政策決定会合で、政策金利を維持すると決め、追加利上げを見送った。植田和男総裁は記者会見で、経済と物価が見通しに沿って進めば利上げに動く方針を改めて示した。一方で、不安定さの残る金融市場や、利下げに転じた米国経済の行方をにらみながら、タイミングを慎重に見極める考えを強調した。
日銀は、銀行間で短期資金をやり取りする金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を0.25%程度に据え置いた。
前回7月の決定会合では、経済と物価の「好循環」が進んだことなどを理由に、0.15%幅の利上げを決めた。だが、その後、外国為替市場で急速な円高ドル安が進行。8月上旬には日経平均株価が乱高下するなど、金融市場は混乱した。
金融市場について、植田氏は「米国をはじめとする海外経済の先行きが不透明で、当面は高い緊張感を持って注視する」と述べた。7月半ばに1ドル=161円台をつけた円相場は約2カ月で20円ほど円高に振れた。このため、植田氏は、7月に利上げした際の一因とした輸入物価の上ぶれリスクが「相応に減少している」と分析。「政策判断(利上げ)にあたって確認する時間的余裕はある」とも語った。
現状の経済や物価については「見通し通り来ている」とした上で、追加利上げの時期は言及を避けた。(神山純一)
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