コッター床版工法は工事現場で鉄筋を組む作業や生コンクリートを流し込む作業を減らせる

熊谷組は高速道路の橋桁上部の床版を更新する作業にかかる時間を従来の半分に短縮できる工法を開発したと発表した。床版同士をつなぐ金具を改良し、様々な橋の床版取り換えに対応できるようにした。高速道路の老朽化が進むなか、現場の制約が大きい都市部などの更新に使いやすい点をアピールして受注を増やす。

熊谷組がオリエンタル白石など3社と共同で開発した「コッター床版工法」は、コンクリート製の床版を工場で作る際に特殊な形状の金具を取り付け、工事現場での作業を軽減する。床版と床版をつなぐために鉄筋を組んで生コンクリートを流し込む作業が減る。

長さ数百メートルの道路の床版を数週間かけて取り換える作業では作業日数を約50%短縮するほか、作業の延べ人数も約60%減らせる。20人近い作業員の予定を合わせる必要があったが、10人以下で作業を進められるようになる。「熟練の作業員が少なくても工事ができ、現場に置く資機材も減らせる」(熊谷組)

金具を製造するコストが工事費に上乗せとなる一方、工事の範囲が大きいほど金具付きの床版を量産してコストの上昇幅は抑えられる。現場の条件にもよるが省人化などで更新全体の事業費は同等程度まで抑えられると試算する。2025年度にも現場導入を目指す。他の建設会社への販売も進める。

地方部で先行してきた高速道路の更新は、交通量が多く現場周辺の制約も大きい都市部で増える。鹿島や大林組が床版を1車線ずつ取り換えられる大型機械を導入するなど、建設各社は交通規制を限定した工法を売り込む。

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