CLT耐力壁で「大地震に勝ち続け、住み続けられる家」としてアピールする

住宅メーカーのライフデザイン・カバヤ(岡山市)は26日、一般向け木造戸建て住宅の施工販売について、新木質建材CLT(直交集成板)の耐力壁で耐震性を高めた構法を標準化すると発表した。注文住宅をすべて同構法に切り替え、店舗のない関東や東北ではフランチャイズチェーン(FC)展開で普及をめざす。

標準化するのは、柱や梁(はり)を使って組み立てる伝統的な在来軸組工法と新建材の耐力壁を組み合わせたCLTハイブリッド構法。建築確認申請の審査が早い「壁倍率5」の国土交通大臣認定を取得した。

6月に国土交通省が所管する土木研究所(茨城県つくば市)で実施した振動台実験では、震度5〜7の加振70回に耐え、ボルトなど金具の締め直しも不要だった。

実験では6日間で70回の震度5以上の地震に耐えた

CLTは木材の繊維方向が層ごとに直交するよう重ねて接着することで、強度を高めた大判パネル。同社は新たに開発したCLTハイブリッド構法を「CLT MASTERS」ブランドで10月3日から販売する。

同構法は、細長い八角形のCLT耐力壁を住宅内部の壁として採用し、柱と柱の間に斜めにはめ込む筋交いを置き換えて強度を上げるイメージ。耐力壁は厚さ6センチ、高さは2.4〜2.8メートル、幅は80センチ程度で、八角形にすることで柱や梁の隅に地震の力が集中するのを避ける。

CLTを全面的に使う建築物は、ビルや公共施設など大型が一般的。CLTの使用量が多く、パネルも大きいため運搬コストも高い。複雑な構造計算を必要として計画から着工まで時間がかかる傾向にある。戸建て住宅向けには必要以上に強度が高かった。

今回、戸建て住宅に特化してCLT耐力壁の強度を調整した。住宅の形や広さによって柱や梁の間にCLT耐力壁を組み込む。CLT量が増えすぎず、通常の木造住宅と同程度の工期で対応できる。価格は1〜2割程度高くなる見込みだ。

大地震に耐えても建て替えなどが必要になるケースは多い。同社は「長く住み続けられる木造住宅のモデルケースにしたい」とする。

ライフデザイン・カバヤの住宅受注は年々増えており、2024年度は約1100棟の受注で、このうち7割を注文住宅が占める。全体の売り上げは約500億円を見込む。おおむね3割の分譲住宅についても今後、CLTハイブリッド構法の採用を検討していく。

同社の自社店舗は岡山を中心に西日本に集中している。東日本地域ではFC加盟100社を当面の目標にしている。シンプルな構法でかつ付加価値を高められることから、他社と差別化できる中小の工務店なども加わりやすいとみている。

CLTは国産材を使う。八角形にすることで出る端材はスマートフォン用木製スピーカーやコースターとして利用する方針だ。

(深野尚孝)

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