北海道は27日、2023年度のトドやオットセイ、アザラシによる漁業被害が約9億3千万円となったと発表した。前年度から約1億4千万円減少し、統計のある1989年以降で最高となった13年度(約25億9千万円)からは減少傾向が続いている。

 道によると、トドによる被害は約7億3千万円で、全体の約8割を占める。次いで、アザラシが1億2千万円、オットセイが約9100万円だ。漁に使う網をかみ切られる▽網にかかった魚を食べられる▽トドなどがいて漁に出られないなどの被害があるといい、道は漁協からの報告をもとに被害をまとめている。

 トドとオットセイの被害は日本海側が中心で、太平洋側などでも確認されているという。一方、アザラシは全道で確認されている。

 トドは漁業法に基づき、道の漁業調整委員会の許可のもと、ハンターなどが採捕するが、漁網などに近づかないようにする防除(追い払い)などの有効な対策は模索中という。今年8月、水産庁はトド管理基本方針を改訂し、今回の来遊の期間の採捕数の上限を北海道の日本海側は511頭、道東側は31頭とし、漁業被害の軽減とトドの保全の両立を目指す。

 国立研究開発法人水産研究・教育機構の磯野岳臣・主任研究員は「トドの被害対策は採捕が主になっている」と説明。ただ、防除として、水中で音を出す方法もあるが、休憩中のトドには効果があるものの、網にかかった魚を狙うトドには難しいという。「漁業者からの(被害軽減の)要請もあるなかで、有効な手段を探している」と話す。(古畑航希)

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