国土交通省は30日、車輪と車軸からなる「輪軸」の組み立て作業の不正を巡る緊急点検の結果を発表し、全国156事業者のうち3割にあたる50社(速報値)の車両でデータの改ざんが確認されたと明らかにした。同省は同日、不正や鉄道のトラブルが相次いだことを受けて、鉄道各社の安全統括管理者を集めた緊急会議を開いた。

斉藤鉄夫国土交通相は会議で「記録を書き換えるといった不正行為は鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆すものであり極めて遺憾」とし、安全確保の徹底を呼びかけた。

一連の問題は車輪などに車軸を圧入する工程を巡るもので、圧入力値が目安を逸脱していた事例があったほか、データを改ざんする不正も相次ぎ報告されている。

国交省の緊急点検によると、圧入力値の逸脱など不適切な事案が確認された事業者は6割弱の91社あった。このうち50社でデータ改ざんが確認された。いずれも車両の安全性に問題はないという。

50社のうち大半はJR東日本の子会社の総合車両製作所(横浜市)や京王電鉄系の京王重機整備などに作業を行わせていた。

発端となったJR貨物の事案では計626両で検査データが書き換えられていた。国交省は同社の車両所に立ち入り検査を実施。9月11日には確認作業のため全ての列車運転を一時見合わせ、物流に遅れが生じた。

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