日銀が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を表す業況判断指数(DI)が、大企業・製造業で前回6月調査から横ばいのプラス13だった。半導体などIT関係の市況が回復した一方、中国の景気悪化など海外需要の伸び悩みが下押し要因となった。
製造業は全16業種のうち8業種が改善した。IT機器の需要回復で「電気機械」が10ポイント改善してプラス11、原材料価格の上昇が一服するなどした「紙・パルプ」は7ポイント改善のプラス18となった。一方、海外需要の低迷や台風による生産停止などの影響を受けた「自動車」は5ポイント悪化のプラス7だった。
大企業・非製造業は前回調査から1ポイント改善し、プラス34となった。改善は2四半期ぶりで、1991年以来の高水準となった今年3月調査(プラス34)と並んだ。幅広い業種で上昇した人件費などの価格転嫁が進み、業況が改善したほか、猛暑の影響で販売が好調だった業種も見られた。
12業種のうち5業種が改善した。夏物消費が好調だった「小売り」で9ポイント改善のプラス28。一方、台風で人出が減ったレジャーなどの「対個人サービス」は11ポイント悪化のプラス18だった。
3カ月先の景況感を聞く先行きDIは、大企業・製造業が1ポイント改善のプラス14。一方、人件費などのコスト高への懸念から、大企業・非製造業は6ポイント悪化のプラス28だった。
中小企業でも価格転嫁の動きが広がるなどし、製造業が1ポイント改善の0、非製造業は2ポイント改善のプラス14と、業況の改善が見られた。
業況判断DIは、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた数値。回答期間は8月27日~9月30日で、回答率は99・2%だった。【竹地広憲】
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