トヨタはHVの販売が好調だったがリコールに伴う生産停止が響いた(主力のHV「カムリ」)

【ニューヨーク=西邨紘子、川上梓】トヨタ自動車など日本車6社が2日発表した2024年7〜9月期の米国新車販売は、前年同期比で1%増の143万5000台だった。主力のハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の販売が伸びた一方、トヨタの一部車種でのリコール(回収・無償修理)と生産停止の影響などにより伸び幅は小幅に留まった。

トヨタの7〜9月期販売は8%減の54万3000台だった。HVを含む電動車販売は39%増の25万6000台と伸びたが、大型多目的スポーツ車(SUV)「グランドハイランダー」「TX」など複数車種でのリコールと生産停止が押し下げ要因となった。高級ブランド「レクサス」は8%増の8万1000台と好調で、全体の落ち込みの一部を補った。

ホンダはトラックやHVの販売が好調で8%増の36万6000台だった。日産自動車は2%減の21万2000台。主力のセダンの伸び悩みに加え、傘下の高級車ブランド「インフィニティ」の販売不振も重荷となった。マツダは25%増の11万1000台、SUBARU(スバル)は5%増の17万1200台だった。

三菱自動車は42%増の3万1600台と前年同期比で急増した。プラグイン・ハイブリッド車(PHV)のSUV「アウトランダー」が伸びたほか、小型車「ミラージュ」の供給改善も販売を押し上げた。米国でEV販売の鈍化が続く中でHVに加えPHVの需要が高まっていることも背景にありそうだ。

一方、米国最大手のゼネラル・モーターズ(GM)が同日発表した7〜9月期販売は、2%減の66万台だった。高級車ブランド「キャデラック」や「ビュイック」が前年同期比プラスだったが、販売台数に占める割合が最も大きい「シボレー」ブランドが6%減と落ち込んだ。

GMは販売全体の2割を占める企業やレンタカー向けの「フリート」販売が18%減少したことが響いた。小売りを優先するためフリート販売を絞り込んだ影響もあったという。EVは前年同期比6割増の3万2000台と過去最高となった。

各社とも車種別では高価格帯の車は比較的堅調な一方、セダンなど中間価格帯の車種で落ち込みが目立つ。米新車市場は好調な個人消費が需要を支えてきたがインフレや金利上昇を背景にピークを超え、成長に陰りが見え始めている。米東海岸の港湾で発生したストライキの影響も不透明で、長期化なら生産に影響する可能性もある。

【関連記事】

  • ・トヨタ8月世界生産、7カ月連続前年割れ 認証不正で
  • ・米国のEV販売、リース契約が4割 政策「抜け穴」で急増
  • ・フォード、EV購入者に充電器や工事無料提供 普及促す
NIKKEI Mobility

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。