西武HDは通期業績予想を上方修正した

西武ホールディングス(HD)は2日、2025年3月期の連結純利益が前期の3.1倍となる840億円になる見通しだと発表した。4%減の260億円とする従来予想より580億円上回り、一転増益を見込む。純利益では16年3月期以来9期ぶりに過去最高益となる。持ち分法適用会社の連結子会社化で生じた負ののれんを特別利益として計上する。本業の好調な業績も反映した。

西武HDは持ち分法適用会社NWコーポレーションの子会社化に伴い、負ののれん発生益などの計657億円を特別利益に計上する。

足元の好調な業績も今期予想に反映した。売上高にあたる営業収益は前期比3%増の4940億円、営業利益は6%減の450億円でいずれも上方修正した。

ホテル・レジャー事業の営業利益は17%増の227億円と、22億円上回る。訪日外国人の需要を取り込み平均販売室料の見通しを上方修正した。不動産事業は営業利益を13%減の111億円を見込み、11億円上振れする。軽井沢・プリンスショッピングプラザなどの商業施設が好調に推移しているほか、分譲地の売却も想定を上回る。

都市交通・沿線事業もプロ野球・埼玉西武ライオンズの本拠地ベルーナドーム(埼玉県所沢市)でのイベント開催や好天による移動需要を取り込み、定期外を中心に想定した輸送人員を上回った。

西武HDは今期からグループの長期戦略として不動産事業を成長の中核と位置づけている。不動産を保有して安定した賃料収入を得る従来のビジネスモデルに加え、保有不動産に付加価値を乗せて売却し、流動化で得た資金を新たな開発に充てる回転型ビジネスにも軸足を置く。

流動化の対象として24年内に複合ビル「東京ガーデンテラス紀尾井町」の売買契約の締結をめざしている。売却額は4000億円規模になるとみられるが、今回発表した通期連結業績予想に売却益は盛り込んでいない。今後、業績予想は更に上振れする可能性がある。

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