サイバー攻撃に関する新規制が適用される前の駆け込み契約があった(写真はばら積み船)

日本船舶輸出組合(東京・港)が9日発表した4〜9月の輸出船契約実績(受注量)は、前年同期比47.8%増の671万総トンだった。前年同期を上回るのは3年ぶり。2010年ごろに大量建造された船が更新の時期を迎えるほか、サイバー攻撃に関する新規制が適用される前の駆け込み契約があった。

受注隻数は155隻で、前年同期(122隻)から3割弱増えた。船種別にみると、コンテナ船など貨物船が18隻、鉄鉱石などを運ぶばら積み船が128隻だった。タンカーは9隻で、液化天然ガス(LNG)運搬船の受注はなかった。

船舶のデジタル化が進むなか、国際船級協会連合(IACS)は船舶のサイバーセキュリティーに関する統一規則を示した。サイバー攻撃に備えるため船舶や機器などに最低限の要件を定め、7月以降の新造船契約から適用した。対応に伴う追加コストの懸念から、6月に契約を前倒しする動きがあった。

9月単月の輸出船契約実績は、前年同月比61.3%減の34万総トンだった。前年同月を下回るのは8カ月ぶり。業界関係者は規制前の駆け込みの反動減のほか「船を造る場所にあたる船台が27年までほとんど埋まっており、新たな契約がしにくい」とみている。

造船各社の9月末の手持ち工事量(受注残)は3.4年分に相当する3000万総トンだった。

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