日本原燃が運営する青森県六ケ所村の貯蔵施設での保管を目指している=日本原燃

大手電力10社でつくる電気事業連合会は10日、フランスで使用済み核燃料を再処理した際に生じた廃棄物について、受け入れる青森県に貯蔵形態の変更を申し入れた。貯蔵施設の操業遅れを理由に、2010年に県などの了解を得た内容と異なる高レベル放射性廃棄物(核のごみ)での貯蔵を求めた。

同日、電事連の佐々木敏春副会長が青森県と施設が立地する六ケ所村を訪れ、協力を要請した。宮下宗一郎知事は「検討する状況にない」、六ケ所村の戸田衛村長も「今は検討の時期にない」と反発し、いずれも協議に応じない姿勢を示した。

日本は過去に仏へ使用済み核燃料の再処理を委託しており、作業で生じた廃棄物は33年までに日本へ返還される。廃棄物は核のごみと低レベル放射性廃棄物に分かれ、地層処分の設備などができるまで、日本原燃の貯蔵施設(同県六ケ所村)で保管する。

仏での再処理で生じた核のごみは07年までに全量が貯蔵施設へ移されたが、約1800本の低レベル放射性廃棄物(CSD-C)は受け入れ環境が整わず、仏での保管が続く。返還期限を守るため、放射線の影響が同等となる約20本の核のごみに交換して保管をめざす。

廃棄物の交換は10年に英国での再処理で生じた低レベル放射性廃棄物でも実施した。輸送回数を減らせ、保管や処分方法も「大きな違いはない」(電事連)とする。

ただ、県側は核燃料サイクルをめぐる度重なる計画変更に不信感を募らせている。8月には日本原燃が使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)の完成の目標時期を9月末から26年度に延ばした。核廃棄物の貯蔵施設も同工場と一体で国の審査を受けており、遅延で数量の多い低レベル放射性廃棄物だと期限内の引き取りが困難になった。

日本原燃の施設が操業できないと、核のごみと交換しても保管場所がない。宮下知事も「議論をできる環境にない」と指摘した。電事連の佐々木副会長は「今後も丁寧に説明していきたい」と述べた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。