キリンビールは15日、クラフトビールを扱う事業部を新たに立ち上げたと発表した。これまでは営業やマーケティングなど異なる部署で扱っていたが、1つの組織に集約して新ブランドや商品を開発する。国内のクラフトビール市場の規模は小さいものの、高価格でも購入する層が一定数いる。2026年の酒税改正を追い風に、事業拡大につなげる。
10月1日付で事業部が発足した。当初は30人程度の規模。資本提携したクラフトビール大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)からの出向者2人も在籍する。キリンビールの主力「スプリングバレー」と「ブルックリン」の両ブランドを軸に、飲食店や小売店での認知度を広め、販売数を伸ばす。24年中に季節限定の新商品を出すほか、ヤッホーとも小売店での販促で連携する。
クラフトビールは主に中小メーカーが長期熟成など独自の手法で生産するビールだ。キリンによると、国内のビール系飲料市場に占めるクラフトビールの割合は金額ベースで3%弱だ。クラフトビールを飲んだことはないものの、興味を示す消費者層は1800万人おり、30年にはビール系飲料市場に占める割合で5%以上を目指せるとみている。
26年10月に一本化される酒税改正も追い風になる。現在の税額と比べ、ビールが減税し、発泡酒や第三のビールが増税となる。15日に東京都内で記者会見したキリンの大谷哲司・クラフトビール事業部長は「酒税改正でビール回帰が進み、クラフトビールの需要も中期的に市場拡大が見込める」と意気込む。
キリンは14年にヤッホーと提携し、クラフトビールの事業に本格的に参入した。国内クラフトビール市場では4割弱のシェアを握るが、23年の業績は計画を下回った。大谷氏は「大量生産・短期間プロモーションをしてきた他のビール類の主要ブランドとは違う手法が必要」と話した。
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