茨城県内の市町村対抗で新たなご当地グルメを決めるイベント「シン・いばらきメシ総選挙2024」が水戸市内で12〜14日に初開催された。最終日に料理部門で五霞町、スイーツ部門で小美玉市のメニューがグランプリに輝いた。農業生産額で全国3位ながら名産に乏しいとされる茨城の食の魅力を対外発信し誘客につなげる。
会場の県三の丸庁舎前などに各自治体のブースが並び、3日間で延べ6万4000人を集めた。ウェブの事前投票や来場者の食べ比べによる投票を基に、料理とスイーツの両部門で各10位まで選出。上位から料理専門家ら審査員が①おいしさ②見た目③新規性④提供の斬新性⑤観光資源としての可能性――を基準にグランプリなどを決めた。
全44市町村のうち41市町村が参加した料理部門のグランプリは五霞町の「シン・茨城あげそば〜パリッ!カリッ!5つの味変シン食感〜」が獲得した。特産の常陸秋そばを油で揚げてカリカリした食感を生み、白菜やニンジンなど県産野菜のあんをかけた。豆乳・ゴマ・ラー油などを添え、少しずつ味を変化できる楽しさも演出した。
同町では総選挙開催が発表された約1年前から「(県内で最も面積が)小さい町から頂点を目指そう」(知久清志町長)と準備を重ねてきた。町職員に加え、ABCクッキングスタジオから同町に出向する地域活性化起業人の大澤真理子さん、道の駅ごかの料理長らが開発に協力。揚げそばを皿に盛るのではなく、パフェ風に提供して写真映えも狙った。
スイーツ部門のグランプリには小美玉市の「ダイヤモンブラン」が選ばれた。筑波山の2つの山頂の間に夕日が沈む霞ケ浦湖畔からの絶景を、アイスクリームとサツマイモのクリームによるモンブランで再現した。
同市は県内で生乳生産量がトップの「酪農のまち」。新鮮な生乳で作ったアイスに干し芋と焼き芋のペーストを加え、クリームをのせて仕上げた。地元の菓子店によるオレンジ色のマカロンを夕日に見立てた。
茨城の農業産出額は北海道、鹿児島県に次ぐ3位を6年連続で守り、メロン、レンコン、かんしょなど14品目は全国1位を誇る。ただ、豊富な食材を生かした看板料理がなく、県への観光誘客や魅力度発信のうえで長年の課題だった。
グランプリなどの表彰式に出席した大井川和彦知事は「歴史的にないのであれば創る。市町村で力をあわせればこれだけのことができることが証明できた」と強調し、こうした新グルメを打ち出すことで「たくさんの方々が茨城県に来てほしい」と期待を示した。
県内を中心にスーパーを展開し、総選挙に協賛したカスミは特別賞を贈った鹿嶋市の豚丼や稲敷市のカボチャプリンの商品化を検討する。グランプリを受賞した2品は県内の道の駅などでの販売や東京都内など県が主催するイベントでの出店提供も予定し、県内外で定着やPRを狙う。
(近藤奈穂)
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