サイバー・バズは16日、2024年9月期に22億1500万円の貸倒引当金を計上すると発表した。船井電機・ホールディングス(HD)傘下の脱毛サロンチェーン運営会社と結んだアフィリエイト(成果報酬型)広告契約で、資金回収の確実性が見通せないため。同日、原因調査や再発防止策についても発表した。
同社は23年4月、取引先だった脱毛サロンチェーン運営会社からアフィリエイト広告取引の引き合いがあった。アフィリエイト広告について業務を受託していた別の広告代理店が間に入る形で広告契約を結んだ。
この取引については信用確保のため、親会社の船井電機HDが連帯保証などの措置をとった。仮にサロンチェーンが支払いを怠った場合、広告代理店への支払いが免除されるなどの条件を付けた。
23年12月、サロンチェーンが支払いが遅れる旨をサイバー・バズに通達した。24年3月まで入金が遅れていたことから、2024年9月期の第2四半期にあたる24年1〜3月期に今回の債権22億1500万円の全額について、販売費及び一般管理費として計上することを決めた。
サイバー・バズはサロンチェーンが支払いを怠った場合、広告代理店への支払いが免除される認識でいたが、実際に結ばれた契約には同条項が盛り込まれていなかったという。船井電機HDの連帯保証などにより与信金額を決めたほか、免除を前提にした取引だったため、サロンチェーンへの売掛金額が多大になった。
今回の事案でサイバー・バズは外部弁護士などの協力を得て関係者への聞き取りやメール、関連文書などを調査した。サロンチェーンとの取引開始時は社内の与信ガイドラインに沿った判断をしていた。しかし、取引が拡大して与信残高が増加すると、免除が前提の「実質的に社内の与信ガイドラインに違反した判断となっていた」(同社)という。
今回の取引について執行担当の役員で構成する役員会では一定のリスクがあると報告されていたものの、契約書の内容は正しく報告されていなかった。重要な契約書の承認について権限が明確ではなかったとして、今後具体的な基準を明確化にするほか、重要性の高い取引について、外部の有識者と契約するなどモニタリング方法の見直しに着手するとした。
サロンチェーンからの回収額は1300万円にとどまる。今後、船井電機HDへの仮差し押さえなどの法的措置などをしていく。経営責任を取るため、役員の報酬減額や返納を検討しており、詳細については改めて開示するとした。
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