黄色と白で車体を彩ったラッピング電車「Dialogue Train」(17日、奈良市の近鉄西大寺車庫)

近鉄グループホールディングス(GHD)は2025年国際博覧会(大阪・関西万博)のラッピング電車「Dialogue Train」の運行を18日から始める。テーマ事業プロデューサーで映画監督の河瀬直美氏の「対話」をテーマにしたパビリオンを電車内で一足先に体験してもらい、開幕まで半年となった万博の機運を高める。

6両1編成の一般車両で、主に近鉄奈良駅と神戸三宮駅間を運行する。河瀬氏は「乗る人が、自分自身との対話を通して一歩、未来に向かって歩き始めるような思いをわきたたせてもらえれば幸せです」と話す。会期末の25年10月13日まで運行を予定する。

車内に掲げた問いかけについて「正しい答えがあるとかではなく、考えを巡らしてもらう時間になれば」と話す河瀬氏

車体は光や希望を象徴する黄色と白で彩り、吹き出し型のビジュアルや「Dialogue Theater―いのちのあかし―」のパビリオン名を入れた。パビリオンでは会期中の184日間、毎日異なる問いを来場者に投げかけて対話する。車内ではこのうち「この世界でいちばんやわらかいものはなんですか?」といった16種類を、ドア横や中づりに掲げて乗客に問いかける。

近畿日本鉄道の西大寺車庫(奈良市)で17日に開かれたお披露目式には、河瀬氏や近鉄GHDの若井敬社長、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長が出席した。今回の企画は奈良県出身の河瀬氏と、同県で広く沿線展開する近鉄との連携で実現した。若井社長は「これまでにないインパクトのある電車を実現できた。万博と奈良を結ぶかけ橋となれば」と期待感を示した。

お披露目式に参加した近鉄GHDの若井社長(左端)と日本国際博覧会協会の石毛事務総長(左から2人目)、河瀬氏

河瀬氏のパビリオンのコンセプトは「毎日が、人類史上はじめての対話」で、初めて出会う人同士によって展開される2人の対話を来場者はスクリーン越しに見つめる。対話者の1人は国内外の来場者からランダムに選ばれ、もう1人は事前に募集し河瀬氏が直接レクチャーするワークショップに参加する。建物には奈良県十津川村と京都府福知山市の2つの廃校の木造校舎を活用する。

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