【ニューヨーク=西邨紘子】米ヘルスケア大手CVSヘルスは18日、カレン・リンチ最高経営責任者(CEO)が退任したと発表した。理由について「取締役会との合意」とのみ説明している。足元で保険事業の採算悪化による業績不振に直面しており、事実上の引責と見られる。
1日には従業員の約1%に当たる2900人を削減し、20億ドル(約3000億円)のコスト圧縮につなげるリストラ計画を発表していただけに、突然のトップ交代となった。後任CEOには、17日付で執行副社長だったデビッド・ジョイナー氏(60)が就任した。
CVSは高齢者向け保険事業のコスト上昇による採算悪化や、薬局小売事業の販売伸び悩みで業績が悪化している。直近では事業立て直しを求める株主の圧力が強まっていた。
CVSは18日、8月に公表した24年12月期通期予想の撤回もあわせて発表した。「医療費の(上昇)傾向が予想を上回っている」とし「投資家は(従来見通しに)もはや頼るべきではない」と警告した。7~9月期の業績見通しについては調整後1株利益で1.05〜1.10ドルとし、市場の予想(1.70ドル程度)を大幅に下回った。
新たにトップに就任したジョイナーCEOはCVS在職が長く、医療保険や薬剤給付事業など様々な部門の経営幹部を務めた経歴を持つ。20年に同社をいったん退職したが、23年にリンチ前CEOの呼びかけにこたえて再入社した。薬局サービス部門トップを務めていた。
発表を受け、この日の米株式市場でCVSの株価は急落した。下げ幅は前日比で一時9%に達した。成長回帰に向けた事業立て直しが求められる中、投資家の間では内部出身のトップ人事が抜本的な改革につながるか不透明感が強い。
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