大手電力10社は30日、12月請求分(11月使用分)の家庭向け電気代を発表した。政府が「酷暑対策」として3カ月に限った補助が11月請求分で終了するため全社で上昇する。平均的な使用量に基づくと513〜650円上がる。政府は補助金を通じた価格抑制策の延長をにじませており、補助金が電気代を左右する状態は当面続く見通しだ。
政府は冷房の使用が増える9月請求分から電気・ガス代の補助を始め、9〜10月分は1キロワット時当たり4円、11月分は同2.5円を支援していたが終了する。東京電力ホールディングス(HD)では標準家庭で608円高い8868円となる。
電気代は各社の電源構成に応じて、数カ月前の資源価格の平均値が反映される。12月分は火力発電の燃料として使うLNGと石炭の輸入価格が下がっており、補助金による影響を除くとほとんどの企業で値下げとなる。
大手ガス4社も同日、原料価格に基づく12月検針分のガス代を発表した。ガス代も1立方メートル当たり最大17.5円を支援していた政府補助が終了するため、全社で上昇する。平均的な使用量では209〜274円上昇する見通しだ。
衆院選で自民、公明の与党が大敗したのを受けて、政府はエネルギー価格高騰対策の延長を模索している。電気・ガス料金やガソリン代への補助は岸田前政権が延長や停止、再開を繰り返しているが、資源価格は22年に記録したピークから下落傾向にある。政府主導の「官製値下げ」の状態が続いており、事業者の間には出口戦略を探るべきだとの声もある。
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