2030年代前半の事業化を目指す(岩手県北上市のキオクシアの工場)

半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)は6日、人工知能(AI)向けの次世代メモリーを開発すると発表した。AIの駆動に使われるDRAMに比べて省電力で大量のデータを処理できる。今後3年間で最大360億円を研究開発に投じ、経済産業省が最大180億円を補助する。2030年代前半の事業化を目指す。

AIの駆動時には、計算の途中結果を一時的に保存するために高性能のDRAMが使われている。DRAMはデータの読み書き速度に優れる一方で、電気が途絶えるとデータが消える。生成AIなどが大量のデータを処理するときに、多くの電力が必要となるのが課題だった。

同社が開発する次世代メモリー「CXL」は、電気が流れていなくても大量のデータを保つことができ、AIが駆動する時の電力消費量を抑制できる。スマートフォンなどの端末に搭載する「エッジAI」の市場が中長期で拡大するのを見込み、省電力のAI向けメモリーの市場を開拓する。

キオクシアはデータを長期に保存するNAND型フラッシュメモリーの世界3位だが、韓国サムスン電子や韓国SKハイニックスなどの競合企業のようにAI向けに需要が急増しているDRAMを手掛けていない。次世代メモリーの開発でNANDのみだった事業構造を変える狙いもある。

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