大和ハウスが開発した物流施設の物件売却が想定以上に進む

大和ハウス工業は12日、2025年3月期の連結純利益が前期比11%減の2670億円になりそうだと発表した。8月に期初予想から230億円上方修正していたが、さらに70億円引き上げる。国内の物流施設売却などが寄与する。期末配当を2円上乗せして年147円配(前期実績は143円)とする。

売上高は3%増の5兆3700億円、営業利益は微減の4400億円とそれぞれ200億円、100億円上振れする。同社は将来生じる退職給付のうち、既に発生した退職給付債務や年金資産の運用益から生じる数理差異を発生年度に一括計上している。前期は数理差異が営業利益を465億円押し上げた。この分を除けば今期は実質12%の営業増益になる。

物流施設や工場などを建築する事業が収益をけん引する。同事業の売上高は5%増の1兆3600億円を見込み、賃貸住宅を建築する事業(1兆3400億円)を上回って事業別で最大となる。事業利益は22%増の1500億円を見込む。物流施設が想定よりも高価格で売却が進む。

同日大阪市内で記者会見した芳井敬一社長は「入居率の改善などで物件の収支が良くなっているため、売却価格が高くなっている」と指摘した。

大和ハウスの芳井社長はトランプ政権誕生の影響について「当面は様子見だ」と語った(12日、大阪市)

米国の戸建て住宅事業は堅調だ。売上高は21%増の5718億円、事業利益も21%増の477億円を見込む。米スタンレー・マーチンをはじめ、M&A(合併・買収)で傘下に収めた戸建て住宅の中核3子会社の販売が増える。国内の戸建て住宅事業は売上高が9%増の4930億円、事業利益が3倍の110億円とする従来予想を据え置いた。

同日発表した25年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比1%増の1563億円だった。売上高や営業利益を含めて4〜9月期としては最高となった。運営するビジネスホテル「ダイワロイネットホテル」の稼働率が新型コロナウイルス禍の収束や訪日外国人(インバウンド)客の回復で改善したことも収益貢献につながった。

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