アイリスオーヤマは岡山県瀬戸内市に建設する工場でパックごはんの製造に乗り出す。今年末をめどにオーダーメード方式で造成した第2宮下産業団地の用地を取得、2025年前半をめどに着工する。26年以降に物流棟や製造棟などを順次稼働させ、まず製品の年間出荷額80億円を目指す。時短などの需要に伴いパックごはんの人気が高まる中、供給能力を高める。
アイリスオーヤマや瀬戸内市は14日、造成した建設用地を報道陣に公開した。基礎工事のためのくぼ地を設け、新工場の3棟は隣接する形で建設する。くぼ地は引き渡しが決まっている建設用地の一部で、今後新たな建物を整備する可能性もある。
関連施設は26年に物流棟、28年に製造棟、29年に自動倉庫が竣工する予定。製造棟の稼働から本格的にパックごはんの供給を始め、3年間で年間出荷額を80億円にする計画だ。
同社は施設整備のため、第2宮下産業団地で約6万平方メートルの用地を確保している。物流棟は5階建て、製造棟は2階建てとなる。自動倉庫は約3万8000パレットを備える。全て鉄骨造りで、3棟合わせた延べ床面積は約8万平方メートルに及ぶ。
総投資額は約200億円を予定する。新工場で働く従業員は200人を想定し、地元を中心に160人の新規雇用を見込む。パックごはんの生産数量では国内最大の角田工場(宮城県角田市)に次ぐ規模になる。
アイリスオーヤマの稼働中の国内工場は現在12カ所で、中四国には初の進出となる。山陽自動車道など主要道へのアクセスがよい利点を生かし、京阪神や中四国に製品を供給する製造・物流拠点となる。
同社の大山晃弘社長は同日の記者会見で、「全国で商売しているが、西日本に関しては物流力や製造力が足りないと考えていた」と話した。
同社はパックごはんや飲料水の食品事業を拡大する方針を掲げている。同事業の売上高は30年12月期をめどに1000億円を目指す。
新工場で扱う製品は当初家電を想定していたが、パックごはんに変更した。大山社長はこれについて「内需型の事業を拡大しようという経営判断。経済的なメリットもあり、地域との連携も深まる」と説明した。
同社と瀬戸内市は14日に包括連携協定も締結した。地域における雇用の創出や同社の製品を生かした防災・減災、地域産業の振興を目指す。市はふるさと納税の返礼品として同社の製品を扱うことにより、税収確保につなげる狙いもある。
瀬戸内市の武久顕也市長は同日、連携策について「直接取引という形ではなくとも、米作りにも良い形で影響が及ぶような取り組みにしたい」と述べた。同社やJAと協力し、米農家が意欲を持って生産できるような環境整備を進める考えだ。
第2宮下産業団地は21年にアイリスオーヤマの意向を受け、瀬戸内市がオーダーメード方式での造成を進めてきた。今後は定例市議会での議決を経て引き渡しに移る。
(中野颯太)
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