25年3月に発売する「セルハンドラーツー」で創薬向けの需要を深掘りする(14日、東京都内)

ヤマハ発動機は14日、新薬開発に欠かせない細胞の培養工程を効率化できる機器を刷新し2025年3月に発売すると発表した。製品名は「CELL HANDLER 2(セルハンドラーツー)」で、細胞を選別する速度を2割上げるなど性能を高め、必要な細胞のみを検出できるように人工知能(AI)で識別する機能を加えた。

既存のセルハンドラーは17年に発売し、日本国内の大手製薬会社や研究機関のほか、一部は欧米の研究機関にも導入。ヤマハ発の産業用ロボット技術を応用し、手動にない速さや精度で個々の細胞を吸い上げてプレート上に移し、撮った画像から解析できる。細胞培養の作業効率や生産性が高まるとして需要を開拓してきた。

新機種では細胞を吸い上げるためのヘッドが動く速度を20%上げた。高倍率の対物レンズを追加して画像の解像度も高め、より微細な構造を観察できる。AIでは研究現場から提供を受けた細胞輪郭のデータを学習して自動検出を可能にする。画像解析の自動機能とともに作業の手間を省く。

成長性の高い市場で事業基盤を固めることを優先する(14日、東京都内)

ヤマハ発は新規事業の一環で医療・健康分野に力を入れる。創薬向けではセルハンドラーツーを軸に製薬大手や有力研究機関の需要を深掘りする。機器の販売だけでなく、AIデータ学習を通じた課金ビジネスも模索する。医療・健康分野全体で年間数十億円の売り上げ規模を目指す。

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