内閣府が入る中央合同庁舎8号館=東京都千代田区で2021年1月19日、赤間清広撮影

 内閣府が15日発表した2024年7~9月期の実質成長率(年率換算)は0・9%増となり、4~6月期の2・2%増から鈍化した。岸田文雄前政権が目玉政策として6月に始めた1人4万円の定額減税の景気浮揚効果が注目されたが、物足りなさが残った。

 「春闘賃上げの効果や、堅調であった夏のボーナスとも相まって、物価上昇が続く中でも、個人消費を下支えしている」

 経済政策を担当する赤沢亮正経済再生担当相は15日の記者会見で、定額減税が果たす効果について、こう評価した。

 GDP(国内総生産)の過半を占める個人消費は、7~9月期は一定の底堅さを見せたといえる。前期比0・9%増で、4~6月期の0・7%増からやや拡大。8月に南海トラフ地震に対する警戒感からパックご飯などの買いだめが起きた影響も大きいが、自動車や新商品が出たスマートフォンの販売が好調で、定額減税も一定程度は寄与した模様だ。

 ただ、定額減税を含めた経済対策は、当初の見込み通りの効果があったとは言いがたい。

 政府は23年11月、定額減税や低所得世帯への給付などを盛り込んだ経済対策を閣議決定した際に、GDPを実質で19兆円程度、年率換算で1・2%押し上げると試算した。政府は同年12月に24年度の実質成長率を1・3%増と見通していたが、24年7月には0・9%増、11月には0・7%増と立て続けに下方修正した。政府の当初の想定とはほど遠い成長率といえる。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎・主席研究員は「経済対策の効果が全く検証されていない」と批判。その上で、「持続的に所得が増えなければ、消費マインドは改善しない」と指摘して、1回限りの定額減税の押し上げ効果は限定的との見方を示した。【古川宗】

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