宮崎と台北を結ぶ中華航空子会社の格安航空会社(LCC)、タイガーエア台湾の定期便の運航が26日始まり、第一便が宮崎空港に到着した。台北と結ぶ定期便の運航は4年9カ月ぶり。同空港発着の国際線では、ソウル便の増便も決まっており、県などは新型コロナウイルス禍で落ち込んだインバウンド(訪日外国人)客の回復に期待している。
この日、宮崎空港に到着した第一便は搭乗率92%とほぼ満席で166人が来日。空港のロビーで観光関係者らの出迎えを受けた。
家族と友人の4人でツアー旅行に参加したという台中市在住の陳廣榮さん(72)は「宮崎へは以前に佐賀便を使って来たことがある。今回は宮崎、鹿児島、熊本、福岡と回って佐賀空港から台湾に戻る。海などの景色、おいしい食べ物を楽しみにしている」と話した。
同空港では記念セレモニーも開かれ、宮崎県の日隈俊郎副知事は「現在の週1便から、2便、3便と増やしてもらうことを期待している」とあいさつ。「台湾にもたくさん送客したい。人と人、文化の交流を通じて絆を深めたい」と語った。
タイガーエア台湾の陳漢銘董事長は「台湾でも宮崎は人気の場所だ。福岡や佐賀の路線と組み合わせて多くの選択肢を提供したい。近い将来に増便できることを願っている」と話した。同社の定期便は、宮崎空港と台湾の桃園国際空港を毎週火曜日に1往復する。
県によると、宮崎―台北線は2008年6月から09年9月までエバー航空が週2便を運航。10年1月から中華航空が最大で週3便を運航していたが、コロナ禍の影響で20年2月を最後に休止していた。
宮崎空港の国際定期便では、韓国・ソウル線が一足早い23年9月に運航を再開。ゴルフ客らが多く利用し、24年3月末までの搭乗率が84.4%と好調だった。冬場でもプレーを楽しめることから需要があり、24年の冬季ダイヤで、10月27日から週5便に増便、さらに12月18日から25年3月29日まで週7便に増える。
宮崎県はコロナ禍からのインバウンド回復が遅れている。
観光庁の観光宿泊統計では、23年の宮崎県内の外国人宿泊者は約11万6400人と、前年比で4倍近く増えている。だが、コロナ禍前の19年比でみると、全国が1.8%増と回復しているのに対して、宮崎は64%減と大きく下回ったままだ。24年に入って前年比では増加しているが、19年比では毎月30%以上のマイナスが続いている。
宮崎県などは「宮崎へのインバウンドは、東京や福岡経由に頼る形になっていた」(県観光推進課)と説明。直行便の再開を契機としてアジアからのインバウンドの誘致に取り組んでいる。
21日には、県と県内の観光関係者がソウル市内で「宮崎県観光セミナー」を開催。韓国の旅行会社と現地メディアなどを招き、新たなツアー作りに役立ててもらうために、県内の自然や食などの観光資源や宿泊施設などを紹介した。
11月中旬には、台湾や香港、東南アジアで影響力のある国内在住のインフルエンサーやメディア関係者を招いたツアーを実施した。インバウンドの個人旅行志向が高まる中、インフルエンサーらの情報発信力を活用する狙いだ。
宮崎県は国内でのスポーツ合宿誘致に力を入れており、インバウンドの誘致でもスポーツが軸になっている。県は海外ゴルフ旅行事業者向けに県内のゴルフ場や宿泊先、交通手段の手配などを一手に引き受けるワンストップ窓口を設置。窓口を活用してインドネシアからのゴルフツアー客が9月に来県した。
25年9月に東京で開かれる陸上の世界選手権に向けて事前合宿の誘致にも動き出した。宮崎県での合宿を検討しているドイツ陸上競技連盟のイドリス・ゴンシンスカ最高経営責任者(CEO)らが来日、今月12日には県内視察に併せて河野知事を表敬訪問している。
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