静岡市を中心に弁当や総菜店などを展開する天神屋(静岡市)は地元名物「静岡おでん」の缶詰を発売した。富士山をあしらったデザインで英語表記も取り入れ、高速道路のサービスエリア(SA)などで展開する。国内の観光客に加えて訪日外国人(インバウンド)の土産品需要を狙う。
商品名は「静岡名物しぞ〜かおでん缶」。静岡おでんの特徴である昆布だしと牛すじのだしが利いた黒いつゆに7種類の具が入っている。定番のちくわや白滝のほか、静岡おでんならではすり身にした青魚の練り物「黒はんぺん」、天神屋の店頭で扱うおでんで人気の肉団子、豚の胃袋「ガツ」などを入れた。
店頭価格は645円。観光客の需要を取り込める東名高速道路などのSA、静岡空港や静岡駅の土産店などで扱ってもらう。天神屋の店頭やスーパーなどでも地元向けにも販売。担当者は「スーパーやドラッグストアで販売することで、防災食のローリングストックの選択肢の一つとなれば」と期待する。
黒はんぺんは店頭で販売するサイズだと缶に入らないため、小さめのものを缶詰のために製造して詰めた。おでんの具でおなじみの卵も、通常の鶏卵では大きすぎるためウズラの卵を使った。
天神屋の担当者によると、つゆにも缶詰ならではの苦労があったという。当初は温めるだけで静岡おでんが楽しめる既存商品の「しぞ〜かおでんレトルト」向けのつゆをそのまま使う予定だった。しかし、レトルト用はつゆそのままのストレートタイプで缶詰用に工場に運ぶと輸送費がかさんでしまう。
そこでいったん濃縮したつゆを工場に持ち込み、調味料と水を加えて再加工して詰めたという。結果的に、「(天神屋の)店頭で売られているものより黒めになり、つゆを飲まないことも多い『静岡おでん』らしく仕上がった」(担当者)。
天神屋は近年静岡おでんの関連商品を強化しており、しぞ〜かおでんレトルトのほか、2023年には青のりやけずり粉が混ざった「だし粉」をかけて食べる静岡おでん味のポテトチップスといったひとひねりした商品も発売した。
9品目ある静岡おでんの関連商品のうち、しぞ〜かおでんレトルトの販売価格は1600円と「やや高め」(担当者)。手に取りやすい低価格帯も品ぞろえに加えたいと考え、静岡で生産が盛んな缶詰にするアイデアに行き着いたという。初年度の販売目標は1万個を計画している。
(大倉寛人)
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