コクヨが27日、2027年12月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。活気あるオフィス街づくりを目指し、ビルのリノベーションなどサービス事業に注力する。文具や家具メーカーからの脱皮を加速する。既存事業では東南アジアやオーストラリアなど海外新市場の開拓を急ぐ。

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同日の記者会見で黒田英邦社長は10月に始めたオフィスビルのリノベーション事業について「1年間で10棟ぐらいのビルの企画を進めていく」と意欲を示した。屋上テラスの緑化やテナント運営支援まで、人が集まる空間づくりをサポートする。

帳簿の表紙から始まったコクヨの事業は文具から家具、オフィス内装と広がり、ビルのリノベーションに発展した。その先に描くのは街づくりだ。

2030年度までの長期ビジョンで、製品提供が主体のメーカーからの脱皮を掲げる。この方針のもと、オフィス家具事業も空間デザインに踏み込み、社員の利用実態や人流データに基づいたオフィス設計などに発展した。リノベサービスもオフィス設計・家具販売事業に入る。

コクヨは全国20カ所以上の事業所を「ライブオフィス」と名付け、従業員が働く空間や家具を法人顧客がいつでも見学できるようにした。都内オフィスの一部は公園やコーヒースタンド、コワーキングスペースなどを一般向けにも開放する。

コクヨは10月に24年12月期の連結業績予想を下方修正した。売上高は前期比8%増の3550億円から3%増の3380億円に、営業利益は3%増の245億円から10%減の215億円にそれぞれ引き下げた。文具や家具で中国景気減速の影響を受ける。国内文具事業は少子化の逆風もあり、ビジネスモデルの転換を目指す。

既存事業の成長に向けては海外の新市場開拓を加速する。足元では海外事業の約9割を中国とインドが占める。東南アジアやオセアニアの市場開拓を急ぐ。

新中計では家具販売やオフィス設計を手掛ける法人向けのファニチャー事業でオーストラリアの市場開拓を加速し、文具が中心だったインド市場にも進出する。

黒田社長は「海外ではM&A(合併・買収)も視野に東南アジアやオセアニアでの成長を目指す」と説明。新中計の期間で成長投資約700億円を見込み、そのうち約200億円をM&Aに投じるとした。

30年度までの長期ビジョンでは売上高5000億円を掲げる。今回の新中計では27年度までに売上高4300億円を目指すとともに、その達成に向け既存事業の設備投資なども含めて約890億円の投資枠を設けた。

(神保寧央)

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