連続プログラムに参加した親子は初夏にワタの苗を植え、夏に花を観察し、秋に蒴果の収穫を体験した(11月30日、京都市)

武田薬品工業株式会社京都薬用植物園(京都薬用植物園)と京都市青少年科学センターは11月30日、「ワタ(木綿)」をテーマに循環型農業を体験する連携講座を開催した。6月に堆肥を使った土にワタの苗を植え、8月に花を観察し、11月に収穫して糸を紡ぎ、残った茎などをリサイクルして堆肥にする全3回の連続プログラムの最終回で、小学生の親子ら約20人が屋内外での活動を通じて学習した。

はじけて白い繊維があふれ出ている蒴果を収穫(11月30日、京都市)

参加者は同センターの屋外園で半年前に植えたそれぞれのワタの前に行き、成熟してはじけて白い繊維があふれ出ている「蒴果(さくか)」と呼ばれる果実を収穫した。残った茎などは地面から抜いて片付けた。京都薬用植物園が回収して堆肥にして、翌年の講座などで再生利用される。

収穫した後に残った茎などは堆肥としてリサイクルするために回収(11月30日、京都市)

その後は屋内で専用の道具を用いて、ワタの繊維と種子を取り分ける「綿繰り」、繊維をほぐす「綿打ち」、綿打ちされた繊維を糸にする「糸紡ぎ」などの工程を体験した。

専用の道具を用いてワタの繊維と種子を取り分ける(11月30日、京都市)

講座の最後には、ダイオウショウ(大王松)の大きな松ぼっくりと飾り用の木の実が用意され、参加者自身で綿打ちしたワタを使ってツリーづくりを楽しんだ。

綿打ちされたワタを使ってツリーを作成(11月30日、京都市)

今回の連続プログラムは、2月に京都薬用植物園と京都市教育委員会が締結した教育活動推進のための包括連携協定に基づいて実施された。講師を務めた京都薬用植物園の小島正明氏は「子どもたちが理科に興味を持って植物に接していただくきっかけになれば」と話している。

6月に開催した第1回の講座では堆肥を使った土にワタの苗を植えた(6月8日、京都市)

京都薬用植物園は薬用植物を中心に約3000種の植物を保有・栽培し、特にツバキは各地に伝わる古い品種を中心に500品種余りを植栽していることで知られる。2024年1月には博物館法に基づく「登録博物館」に登録されるなど、世界的な製薬会社である武田薬品工業の社会貢献活動拠点としての役割を果たしている。

(京都支局長 小林茂)

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