積水ハウスが5日発表した2024年2〜10月期の連結決算は、純利益が前年同期比16%増の1648億円だった。2〜10月期で過去最高となった。4月に買収を完了した米住宅会社のM.D.C.ホールディングスの業績を反映したほか、既存の米住宅会社も伸びた。政策保有株の売却益計上も寄与した。
連結売上高は31%増の2兆8630億円、営業利益は25%増の2326億円だった。いずれも2〜10月期として最高を更新した。MDC社の連結化もあり、海外事業の売上高が2.6倍の8511億円、営業利益は72%増の573億円となった。
米国では物価上昇や米連邦準備理事会(FRB)による利上げに伴う住宅ローン金利の高止まりもあり、23年は住宅の買い控えも生じて受注が一時苦戦していた。24年に入り需要が回復し、収益増につながっている。人口増に加えて慢性的な住宅不足が続いており、今後も米戸建て住宅事業が業績をけん引する見込みだ。
国内で主に注文住宅を請け負う戸建て住宅事業は売上高が微増ながら営業利益は10%伸びた。営業利益率は0.7ポイント上昇し8.4%となった。エネルギー消費が実質ゼロの「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」など高付加価値の提案を進めたことで1戸当たり単価が5189万円と24年1月期の平均から5%上がった。
政策保有株を売却し189億円の特別利益を計上した。一方、MDC社の買収関連費用で33億円の特別損失が発生した。
MDC社の買収に伴い負債が増えている。10月末の有利子負債は1兆7679億円と、1月末から1兆円近く増えた。有利子負債が自己資本の何倍かを示す負債資本倍率(DEレシオ)は0.44倍だった1月末から1倍に増えた。一部を資本としてみなせるハイブリッド社債の発行も進め、26年1月期には0.78倍まで引き下げる計画だ。
25年1月期の連結決算は従来予想を据え置いた。売上高は同社初の4兆円、純利益は3%増の2090億円を見込む。MDC社の連結化が業績を押し上げる一方で、一時的な買収関連費用もかさむ。26年1月期はMDC社の業績が通期で反映されるため、収益をさらに伸ばす可能性がある。
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