前日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告は23日、逃亡先の中東レバノンの首都ベイルートからオンラインで記者会見し、日産とホンダの経営統合に向けた協議について、「両者の間に補完性がないように見える。産業上、意味が無い。うまくいくだろうか」と懐疑的な見方を示した。
ゴーン氏は、日産の足元の経営状況について「ビジョンがない。本質が何かを見失っている」と批判した。その結果、「もはや自分では自身を支えられない」状態になったことがホンダとの統合模索の背景にあると持論を語った。
ただ、ホンダとの統合については、完全統合から連携まで、どういった形になるかが分からないと断りつつも、「二つとも日本の自動車会社で、強い分野も弱い分野も同じだ」として相乗効果は望みづらいと分析した。両者間の重複する技術などの取捨選択は難題になるとも語った。
また、ホンダとの統合で規模を拡大しても、ゴーン氏が「唯一ではないが、主要な技術になる」と見込む電気自動車(EV)分野で台頭する中国勢や米テスラとの競争は依然として厳しいものになると予想した。
台湾の電子機器受託生産大手の鴻海精密工業による日産買収提案については、異業種間の統合となるためホンダとの場合に生じるような重複分野の調整が不要で「非常に興味深い」と評価した。
ゴーン氏は2018年に会社法違反(特別背任)などの罪で東京地検特捜部に逮捕され、その後起訴された。保釈中の19年12月にレバノンへ逃亡した。事件を巡っては、ゴーン氏は記者会見で、改めて無罪だと主張した上で、容疑を認めなければ捜査当局による拘束が長期化する「人質司法」について批判した。【ブリュッセル岡大介】
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