決算会見をする上新電機の金谷隆平社長(7日、大阪市浪速区)

上新電機が7日に発表した2024年3月期の連結決算は、純利益が前の期比2%減の48億円だった。公式スポンサーをつとめる阪神タイガースが38年ぶりに日本一となり、記念セールを実施した23年9月と11月に売り上げが伸びた。ただ、例年は稼ぎ時となる年末年始に売り上げを伸ばせず、「阪神フィーバー」を生かし切れなかったようだ。

「テレビやエアコンなどの大型家電は、記念セールが年末年始の需要を先食いしてしまった」。金谷隆平社長は7日、阪神タイガースのロゴマークをあしらった壇上でこう話した。

阪神タイガースの日本一は追い風となったが、物価高による消費者の買い控えなどもあり、売上高は1%減の4036億円、営業利益は1%増の83億円にとどまった。特に苦戦したのが電子商取引(EC)だ。店頭での売り上げは1%増の3314億円だったが、販売戦略を見直したECの売り上げは14%減の646億円に落ち込んだ。

一方で、目に見える形で効果が表れたのが会員数の増加だった。記念セールなどを機に上新電機の店舗を訪れ、会員登録をして買い物をする消費者も多かったとみられる。会員数は1年間で64万人増えたという。

会員数の増加をどのように今期につなげるかが課題となる。金谷社長は「(ECの)利益率は上がっている。今後は売上高も伸ばさなければならない」と強調する。25年3月期の連結業績は、純利益が前年比23%増の60億円、売上高は2%増の4100億円の見通しとした。阪神の日本一を機に獲得した会員を優良顧客に育てることが、「常勝軍団」をつくりあげるカギとなりそうだ。

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