JR北海道が8日発表した2024年3月期の連結決算は、営業損益が499億円の赤字で、前の期(572億円の赤字)から改善した。インバウンド(訪日外国人)をはじめとした観光利用が好調で、鉄道運輸収入に加え土産店などの小売業やホテル事業も伸びた。一方でビジネス需要や定期券販売の回復は鈍く、輸送人員は20年3月期から1割下回った。
最終損益は39億円の黒字(前の期は163億円の赤字)だった。経営安定基金の運用益が前の期より21億円多い315億円となった。国からの支援を特別利益に計上したほか、前の期に特別損失に計上していた留萌線などの鉄道事業廃止に関わる費用がなくなり、最終損益は4期ぶりに黒字に転じた。
売上高にあたる営業収益は前の期比10%増の1477億円。事業セグメント別では、札幌駅前の商業施設「エスタ」閉館などの影響を受けた不動産賃貸業を除くすべての部門で増収増益となった。鉄道やレンタカー事業などの運輸業以外では営業黒字を確保した。
鉄道運輸収入は19%増の698億円だった。インバウンド需要などにより札幌圏中心に利用が好調だったことに加え、19年10月に実施した運賃改定効果もあり20年3月期に比べ99%まで回復したが、輸送人員は90%の水準にとどまった。
25年3月期の連結営業赤字は583億円に広がる見通し。電力や燃料費などのコストや人材確保のための人件費などが増加し利益を押し下げる。営業収益はエスタ閉館による減収などで前期実績から21億円少ない1456億円を見込む。
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