9期連続で最高益を更新し、記者会見する岩谷産業の間島寛社長(13日、大阪市)

岩谷産業が13日発表した2024年3月期の連結決算は、純利益が前の期比48%増の473億円だった。9期連続で過去最高を更新した。3月に持ち分法適用会社にしたコスモエネルギーホールディングス(HD)の投資利益を93億円計上。酸素や窒素、水素などの産業ガス事業での値上げ浸透も収益を押し上げた。

営業利益は26%増の506億円。産業ガスは値上げで収益が改善した。一方、LPガスの販売価格が下がったことで売上高は6%減の8478億円となった。年間配当は130円(前の期は95円)。

岩谷は23年12月に1000億円超で著名投資家である村上世彰氏の投資会社からコスモHD株を取得した。出資比率が20%を超えたことでコスモHDを持ち分法適用会社としていた。前期は営業外の持ち分法投資利益として負ののれんを計上した。 

25年3月期の純利益は前期比14%増の540億円、営業利益は4%増の527億円を見込む。電気自動車(EV)の蓄電池材料などの拡販を見込む。売上高は6%増の9020億円とした。年間配当は前期と同じ130円を予想している。

同日大阪市内で開いた記者会見で、岩谷の間島寛社長は「コスモHDと具体的な連携内容について協議を進めている。しっかりと実績につなげていきたい」と語った。

岩谷はコスモHDの新しい取締役として関西電力の岩根茂樹元社長を推薦した。岩谷の間島社長は「(岩根氏は)電力分野や幅広いところに知見や実績を持っており、コスモHDの企業価値の向上に最適だ」と述べた。

岩根氏は関電の役員らによる金品受領問題を受けて20年に社長職を引責辞任した。関電の株主が会社の信用を低下させ損害を与えたとして、岩根氏ら取締役や監査役に損害賠償を請求する株主代表訴訟を起こし、訴訟が続いている。

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