一般ドライバーが有償で乗客を運ぶことができる制度「ライドシェア(自家用車活用事業)」が8日に始まり、都内で出発式が開かれた。東京や京都など4都府県の一部地域を対象に運行管理をタクシー会社が担う。通常のタクシー車両が不足している時間帯に限定して配車するなど日本独自の仕組みで運用する。
同日午前、日本交通葛西営業所(東京・江戸川)であった出発式には東京ハイヤー・タクシー協会(東京・千代田)の川鍋一朗会長、斉藤鉄夫国土交通相、河野太郎デジタル相らが出席した。テープカットのあと、白いナンバープレートをつけた自家用車が動き出した。
川鍋会長は「日本のタクシーは世界でも品質が良いと評価されている。ライドシェアが高い品質に進化した形でスタートする」と挨拶。河野デジタル相は「日本の至る所で『(人々が)行きたいのに行けない』という問題がある。放置してはいけない。まず、ものは試しで多くの人に便利さを感じていただきたい」と語った。
海外では米国などを中心に一般のドライバーが自家用車で乗客を有償で運ぶライドシェアが広がっている。「日本版ライドシェア」ではタクシー会社が一般ドライバーを採用し、運転に関する教育をする。出発前のアルコール検査や点呼(遠隔)などの責任も負う点で海外とは異なる。
日本版ライドシェアはタクシーの運転手不足を補うという側面が強く、運行時間と配車ができる台数は地域ごとに定めた。東京の場合、平日は毎日午前7〜10時台で上限1780台、土曜は午前0〜4時台で2540台などだ。
現状、タクシー会社以外の参入は認めていない。政府は限定解禁したライドシェアの運用状況などを検証し、海外で事例があるタクシー会社以外が実施できるようにする法制度を整えるかに関しても6月をめどに結論を出す。地域や曜日に関係ない全面解禁も念頭に、需給に応じて価格を変えるダイナミックプライシング(変動価格制)の導入なども検討する。
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