住友ファーマは開発体制を大幅に縮小して業績回復を目指す(14日、大阪市中央区の本社)

住友ファーマは14日、木村徹代表取締役専務執行役員が6月25日付で社長に昇格する人事を発表した。野村博社長は特別顧問に就く。親会社の住友化学からも2人の取締役を新しく受け入れ、新体制で経営再建を進める。木村氏は同日に東京都内で開いた記者会見で「2026年3月期に(4期ぶりの)最終黒字化を目指す」と述べた。

  • 【関連記事】住友ファーマ社長に木村徹氏 野村博社長は特別顧問
新社長に就任する木村徹代表取締役専務執行役員

同日発表した2024年3月期の連結決算は、売上高にあたる売上収益は前の期比43%減の3145億円だった。最終損益(国際会計基準)は3149億円の赤字(前の期は745億円の赤字)。

23年2月に主力製品だった統合失調症薬「ラツーダ」の米国での特許が切れ、業績が悪化した。基幹製品に位置づける子宮内膜症治療薬の「マイフェンブリー」の販売低迷を受け、特許権とのれんの一部などの減損を計上したことも赤字幅の拡大につながった。

25年3月期の最終損益も160億円の赤字を見込んでいる。24年3月期に続いて2期連続の無配とする方針だ。野村氏は会見で「今期も赤字となることは株主に対して申し訳ない」と話した。同社は現在開発中の医薬品候補の品目数を減らすなど、研究開発費を絞って収益を確保する計画だ。

新社長に就く木村氏は経営企画などに加え、再生・細胞医薬事業も担当している。次の成長エンジンと期待する再生・細胞医薬事業は住友化学と共同で立ち上げる新会社で手掛ける考え。木村氏は「(現在の経営の)ネガティブな影響が及ばないように別会社で運営していく」とした。

住友ファーマは同日、役員の報酬減額も発表した。24年5月から25年3月まで社長職は基本報酬の30%、その他の取締役(社外取締役を除く)は20%を減額する。

木村 徹氏(きむら・とおる)89年(平元年)京大院博士課程修了、住友化学工業(現住友化学)入社。92年住友製薬(現住友ファーマ)に移り、19年取締役常務執行役員、21年代表取締役専務執行役員。滋賀県出身。

(三隅勇気)

【関連記事】

  • ・住友ファーマ研究開発費45%減、新薬絞る 25年3月期
  • ・住友ファーマ、1800億円の減損計上 2024年3月期
関西セクショントップページはこちら

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。