【北京=河北彬光】中国人民解放軍は23日、台湾の周辺海域で軍事演習を始めた。24日までの日程で台湾を全方位から包囲する演習の地図も公開。中国は台湾総統に20日就任した民進党の頼清徳(らいせいとく)氏を「台湾独立派」とみなし批判を強めており、発足間もない頼政権に圧力をかける狙いがある。

◆「外部勢力の干渉に厳重な警告」

中国・天安門広場

 中国軍によると演習は陸海空軍、ロケット軍を動員し、台湾本島や台湾が実効支配する金門島、馬祖列島を取り囲むように実施。台湾国防部(国防省)は周辺海域で中国の軍艦15隻と海警船16隻、戦闘機などの出動を確認したと公表した。  中国軍は演習の目的を「台湾独立勢力に対する懲戒と外部勢力の干渉に対する厳重な警告」と発表。中国国営テレビは、台湾のエネルギー輸入や米国の支援網の寸断を想定した演習だとする中国の軍事専門家の見解を報じた。

◆「独立勢力は恥辱の柱にくぎ付け」

 台湾総統府は「中国による一方的な軍事的挑発は、台湾の民主主義や自由、平和を脅かすもので遺憾だ」とする談話を出した。  頼総統は20日の就任演説で、前政権に続き中国からの独立を求めない「現状維持」の立場を取ると表明。一方で台湾と中国は「互いに隷属しない」と述べた。

台湾の総統府

 中国側は「台湾独立勢力は全て恥辱の柱にくぎ付けにされるだろう」(王毅外相)などと連日批判。メディアを通じて「一つの中国原則」を支持する各国首脳の声を相次いで報道するなど反発を強めていた。  中台関係を巡っては、中国が2022年8月のペロシ米下院議長(当時)の訪台に反発し、弾道ミサイル発射を含む大規模軍事演習をしている。 

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