インド北部を中心に到来した熱波の影響が深刻になっている。地元メディアによると、2日までに約211人が熱中症の疑いで死亡。1カ月半に及んだ総選挙の作業スタッフや有権者も犠牲になっており、選挙時期の前倒しを求める声もあがっている。

 地元メディア「タイムズ・オブ・インディア」は3日、インド東部オディシャ州で過去24時間に45人が死亡し、多くが熱中症の疑いがあると報じた。

 北部ウッタル・プラデシュ州でも1日に実施された投票の際に、作業スタッフら33人が熱中症の疑いで死亡。有権者1人も投票所で並んでいる時に倒れ、亡くなったという。

 今回の総選挙では、前回2019年の選挙よりも投票率が低下した地域が多くなったと報じられており、熱波の影響も一因と言われる。

 事態を受けて、選挙管理委員会のラジブ・クマール委員長は3日、「少なくとも1カ月は早く選挙を終えるべきだ。この暑さの中で選挙を行うべきではない。人員の配置の関係で日程は短くできないが、前倒しはできる」と会見で訴えた。

 インドの総選挙はこれまでも、最も暑くなる5月前後に実施されることが多かった。投票所となる学校の試験期間が終わり、夏休み時期に入ることなども考慮してきたとされる。

 ただ、今回は選挙時期に熱波が到来する地域もあり、5月25日に投票があった首都ニューデリーでも連日のように最高気温が45度前後まで上昇。エアコンがない投票所では、冷風機や扇風機などで対応していた。与野党による激戦で注目されていたが、選管によると、投票率は前回の60.6%から58.7%に下がったという。(ニューデリー=石原孝)

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