韓国政府は9日、北朝鮮がゴミなどをくくりつけた「汚物風船」を再び散布したことへの対抗措置として、同日中に軍事境界線付近に拡声機を設置し、軍事宣伝放送を再開すると発表した。北朝鮮の強い反発が予想され、南北の緊張がさらに高まる可能性がある。

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 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮が8日から韓国に向けて飛ばした汚物風船は約330個で、うち約80個がソウルなどに落下したという。韓国の脱北者団体が6日、北朝鮮の体制を批判するビラを大型の風船を使って飛ばしたことへの反発とみられる。

 韓国大統領府は9日午前、国家の安全保障に関する会議を緊急開催。「国民の不安や社会の混乱を引き起こそうとするいかなる試みも容認できない」とし、宣伝放送の再開を決めた。

 宣伝放送は前線の兵士の動揺を誘う「心理戦」の一環で、過去には北朝鮮の体制を批判する内容のほか、K―POPなども流された。音は10~20キロ先まで届くとされる。宣伝放送は南北の緊張が緩和した2018年が最後で、その後は中断されていた。

 韓国政府は4日、軍事境界線付近で敵対行為をしないとする南北間の軍事合意の効力を全面的に停止した。これにより、宣伝放送の再開が可能になっていた。(ソウル=太田成美)

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