北朝鮮の朝鮮中央通信は9日夜、金正恩(キムジョンウン)総書記の妹で朝鮮労働党副部長の金与正(キムヨジョン)氏の談話を報じた。北朝鮮の「汚物風船」への対抗措置として韓国が拡声機による軍事宣伝放送を再開したことに「もしビラ散布と拡声機による放送の挑発を並行してくるなら、疑いようもなく新たな我々の対応を目撃することになる」と警告した。

 北朝鮮は韓国の脱北者団体が金正恩氏を批判するビラなどを風船で飛ばしたことに強く反発しており、8日以降、再びゴミなどをくくりつけた汚物風船を韓国に向けて飛ばしていた。韓国軍はこれに対し、2018年以来となる宣伝放送の再開に踏み切り、南北間の緊張が高まっている。

 同通信によると、金与正氏は談話で、8日夜と9日未明に約1400個の風船を使って紙くず7・5トンを韓国側へ飛ばした、としつつ、「9日のうちに終了する計画だったが状況は変わった」と主張。韓国側の宣伝放送の再開を「極めて危険な状況の前奏曲」だと批判した。

 さらに「休みなく紙を拾い集めなければならない困惑が大韓民国の日常になる」と韓国側を強く牽制(けんせい)した。(ソウル=稲田清英)

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