【バンコク=藤川大樹】クーデターで実権を握ったミャンマー国軍は6月30日、コメの価格をつり上げて経済を不安定にしたとして、日本の小売り大手イオンの現地法人に勤める日本人男性を拘束したと発表した。ミャンマー国内では生活必需品の価格が高騰しており、国軍の統制が強まる。

◆現地の弁護士が面会

イオンの看板

 イオンによると、拘束されたのは、現地企業と2016年に合弁で設立した「イオンオレンジ」の商品本部長笠松洋さん(53)。同社は最大都市ヤンゴンなどでスーパー計9店舗を展開している。  イオンの担当者は「在ミャンマー日本大使館に支援いただき、早期解決に向けて当局の捜査に協力していく」とコメントした。日本政府によると、笠松さんはヤンゴン市内の警察署で取り調べを受けており、30日夜に現地の弁護士が面会したところ、健康状態に問題はなかったという。

◆国内で戦闘が続き、物価が高騰

 国軍は、毎月公表される「適正価格」より高い価格でコメを販売した疑いで、米穀事業者やスーパーなどを調査。乖離(かいり)が大きかった店舗の責任者ら11人が拘束された。内戦が続くミャンマーでは現地通貨チャットの下落や国境貿易の停滞などを背景に、食品や燃料の価格が上昇。現地のコンサルティング会社の調査では、22年1月に2キログラム当たり2063チャットだったコメの価格は、今年5月には9163チャットと4倍以上に高騰した。 

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